会長からのメッセージ

NPO学の熱にふいごで風を送る

日本NPO学会が旗揚げしましたのは1999年です。以来、本学会は政府部門や民間営利部門に続く「第3のセクター」としての民間非営利部門という新しい学問領域の発見とその深化とに心血を注いでまいりました。

「NPO研究」というテーマの特性もあって、研究者と実践家とが同じ議論のアリーナに立つその日常的な光景は、他の学会には見出し難いユニークな特長のひとつとなっています。その魅力ゆえに他の学問領域から「横滑り」される方々、あるいは、実践と学問との間を見事に「反復横跳び」される方々など、様々なかたちの学問的距離感がNPO学の層を厚くしてきた、といっても過言ではありません。

多様なアプローチと多彩な構成員からなる、文字通り学際的な当学会のやがて20年になろうとする歴史を振り返るとき、しかし、日本において「NPO学」は果たして確固たる学問の基盤と有効な実践へのフィードバックのループとを獲得し得たと言えるでしょうか。

目を外に転じれば、そこには市民生活を取り巻く社会環境や政治や経済を動かすシステムのドラスティックな変化があります。NPO学はかような激変をしかと射程に捉えることが出来ているでしょうか。

かつて東京や関西でボランタリーに集った年若い研究者や市民活動家たちが同時多発的に立ち上げた勉強会や研究グループが本学会の礎となりました。当時の、文字通り熱波のような波及の様を記憶にとどめる者の一人として、「NPOとしての学会」にいまも埋み火として残る熱にふいごで風を送る、を自らの役割と捉え、及ばずながら尽力したいと思いを新たにしています。

2年間という限られた時間ではありますが、強く寛容な市民社会というビジョンのもと、民間非営利セクターと研究の発展に向けて、会員の皆様とともに最大限尽力してゆきたいと思います。よろしくお願いします。

2016年4月1日
日本NPO学会会長 樽見 弘紀