障害者と表現活動

書籍のご紹介です。

著書:障害者と表現活動:自己肯定と承認の場をはぐくむ

著者:川井田 祥子

出版年月日:2020年3月25日

出版社:水曜社

ISBN: 9784880654829

概要:

本書は、社会的排除への着目を背景に、ロンドンオリンピックにおける「アンリミテッド」を、イギリスの障碍者運動の歴史を踏まえつつ考察したものである。第1章では、社会政策における「承認」という概念を取り上げ、社会的排除の克服には就労を通じた承認が必要なこと、及び社会連帯経済に関するイタリアの取り組みついて紹介されている。第2章では、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックにおけるアンリミテッドが構想された背景・目的を明らかにするとともに、イギリスにおける障害者運動や文化的多様性について検討されている。第3章では、「承認」が社会政策において求められる背景、労働観の変遷、福祉ウェルビーイング等について検討がなされている。第4章では、社会的排除の克服を目指すヨーロッパにおける社会的企業や日本の福祉施設での取り組みが紹介され、社会的包摂のあり方が言及されている。そして、第5章では、社会的排除の克服という国際的な動向において、日本は今後いかなる取り組みを行うべきか、障害者と表現活動の視点から考察がなされている。新しい社会的価値を創出しようとした試みである。

http://suiyosha.hondana.jp/book/b493172.html

表現活動を通じて、自らの価値を発見し、他者と社会から承認を得ることによって“ 生きる場 ” を取りもどす。イギリスの障害者運動の歴史、東京五輪・パラリンピックがモデルとするロンドン2012のアンリミテッド・プロジェクトをふり返り、社会的排除が社会問題として注目される世界的動向や背景を考察。経済的価値のみならず、新しい社会的価値を創出する途を示す。

目次:

はじめに

第1章 社会的排除の克服に求められる“ 承認” と“ セルフエスティーム”

第2章 アンリミテッドとイギリスの障害者アート・ムーブメント

第3章 福祉well-being に必要な表現活動

第4章 文化基盤型社会的企業を志向する福祉施設の取り組み

第5章 誰もが承認を得られる包摂型社会を

おわりに

文責:小田切康彦(徳島大学)