芸術祭と地域づくり

書籍のご紹介です。

著書名:芸術祭と地域づくり- “祭り”の受容から自発・協働による固有資源化へ ―

著者:吉田 隆之

出版年月日:2019年10月3日

出版社:水曜社

ISBN: 9784880654720

概要:

本書は、近年開催された芸術祭等を丁寧に取り上げ、その比較を通じ、芸術祭が地域住民にもたらす影響を検討した労作である。事例としては、あいちトリエンナーレ、大地の芸術祭、水と土の芸術祭、いちはらアート×ミックス、奥能登国際芸術祭、リボーンアート・フェスティバル、札幌国際芸術祭、である。こうした芸術祭の形成過程や実施にかかわる研究に比べ、その実施後のインパクトを評価する研究は少なく、興味深いアプロー地である。とりわけ、本書では、地域の変容を測る指標として、ソーシャル・キャピタルのプロアクティブ化という視点を用いて分析している点に大きな特徴がある。

http://suiyosha.hondana.jp/book/b472121.html

近年、芸術祭による地域活性化に関心が集まっているが、果たして芸術祭は地域づくりにつながるのだろうか。アートが地域に奉仕しているとの批判もある一方、地域がアートに利用されているとの声も現場では少なくない。だからこそアートが地域や住民に与える影響を学術的・客観的に探究することが求められている。本書では個別の地域コミュニティ・プロジェクトごとに調査地域全体に定性的な分析を行い、なぜこの地域で芸術祭が開催されるのか、この地域にどんな意義があるのかという問いに答える最新刊であり、芸術・アート、自治体関係者の必読書。

目次:

第1章 あいちトリエンナーレ(名古屋市等)長者町地区
第2章 大地の芸術祭(新潟県十日町市・津南町)莇平集落
第3章 水と土の芸術祭(新潟市)小須戸ARTプロジェクト
第4章 いちはらアート×ミックス(千葉県市原市)内田・月崎・養老渓谷
第5章 奥能登国際芸術祭(石川県珠洲市)飯田・正院・若山(上黒丸)
第6章 リボーンアート・フェスティバル(宮城県石巻市)はまさいさい・石巻のキワマリ荘
第7章 札幌国際芸術祭(札幌市)札幌市資料館
むすびにかえて

文責:小田切康彦(徳島大学)