基礎自治体の文化政策

書籍をご紹介します。

著書名:基礎自治体の文化政策-まちにアートが必要なわけ―

著者:藤井 一夫 編/文化・芸術を活かしたまちづくり研究会 編

出版年月日:2020年2月10日

出版社:水曜社

ISBN: 9784880654782

概要:

本書は、自治体文化政策を、文化的コモンズという視点から捉えつつ、多数の事例に関する研究成果をまとめたものである。宗像市、十日町市、新潟市、いわき市、金沢市、可児市、長野市、富士見市、小金井市、所沢市、三田市、大分市、萩市、珠洲市、尾道市、大町市等を含む、全国各地の自治体における文化・芸術政策、文化施設、文化・芸術を活かした地域活性化、地域資源を生かしたアートプロジェクト、等の取り組みが紹介されている。自治体関係者のみならず民間のアクターも含めた調査、そして、文化・芸術そのもののみならず空き家再生やまちづくりの視点も取り入れた構成となっており、実践な理解が深められる作品である。

http://suiyosha.hondana.jp/book/b488441.html

基礎自治体(行政区画の最小単位。市区町村)の職員ら18名が研究員の肩書きを持ち、公務として活動した「文化・芸術を活かしたまちづくり研究会」。意外にも文化行政畑でない部署に所属する職員が過半数を占めた本研究会では、様々な観点からまちづくりに関する積極的な討議が行われた。特にピアレビュー(同業者どうしのフラットな評価)によって、職員=研究員が、他都市や他地域の職員、団体、政策、施設、事業、活動などについて同じ目線で批評・評価し、さらにそれらの考察を各研究グループの枠をこえて、相互に批評・評価し、課題解決への汎用性の高い実践知が紡ぎ出された。現職の公務員による視察が、業務上の実利目的をこえて、相互の議論を通じて、幅広い考察と鋭利な認識を得ることができたのである。本書は全国23の事例を基に、学者による研究書でなく、コンサルによる現状追認的、政策誘導的な調査報告書でもない、実務家による実務家に対するピアレビューを通して、「文化とまちづくり」をめぐる新たな研究の地平を拓くための一冊。

目次:

00.はじめに
01.本書の構成
02.日本の文化政策の変遷と自治体の役割
03.研究成果報告会 公開シンポジウム基調講演 平田オリザ氏
04.文化政策グループ
05.公共文化施設グループ
06.コミュニティ創生グループ
07.文化創造・発信グループ
08.まとめに代えて
09.おわりに

文責:小田切康彦(徳島大学)