つながりが生み出すイノベーション

会員の皆様の書籍のご紹介です。

著書:つながりが生み出すイノベーション:サードセクターと創発する地域

著者:菅野 拓

出版年月日:2020年6月20日

出版社:ナカニシヤ出版

ISBN: 9784779514838

http://www.nakanishiya.co.jp/book/b510860.html

概要:

東日本大震災の復興の過程で、NPOをはじめとするサードセクターの諸組織が大きな役割を果たした。サードセクターは全国規模の社会ネットワークを形成し、様々なイノベーションを生み出しながら、震災で生じた社会的課題に対応した。だが、対応状況には地域差も見られた。サードセクターがそのようなイノベーションを生み出すメカニズムは何か。何が地域差をもたらすのか。詳細な調査と歴史研究から明らかにする。

目次

はじめに――本書の執筆動機

第Ⅰ部 目的・方法・フィールドの条件

第1章 本書の目的と方法
     1)本書の目的
     2)現代日本のサードセクターにとっての東日本大震災
     3)本書の方法と要点

第2章 社会的課題が多発する東日本大震災被災地
     ――復興の基本枠組み
     1)東日本大震災被災地における社会的課題解決の基本的な枠組み
     2)東日本大震災の被害と政治・行政セクターの対応の概観

第Ⅱ部 社会的課題の解決主体としてのサードセクターの実態把握

第1章 社会的課題の解決に関与するサードセクターの全体像
     ――組織構成・規模・空間・自発性
     1)研究方法
     2)東日本大震災に対応したサードセクターの全体像と中心的組織
     3)空間からみたサードセクターの実態
     4)法人格からみた自発性
     5)本章のまとめと考察

第2章 社会的課題への対応の実際1
     ――組織間連携による緊急物資支援プログラム
     1)プログラム実施者からみた被災状況
     2)緊急物資支援プログラムの成立と展開
     3)資源の連鎖を資本とした拡大再生産過程を意識した自発的・即興的な対応
     4)本章のまとめと考察

第3章 社会的課題への対応の実際2
     ――被災者生活再建支援のイノベーション
     1)分析の前提
     2)第1のイノベーション
        ――仮設住宅入居者への生活困窮者支援スキームの適用
     3)第2のイノベーション
        ――サードセクターの組織と行政の新たな協働事業スキームの開発
     4)官民協働型の応急仮設住宅入居者への支援
     5)第3のイノベーション
        ――仮設住宅入居への就労支援事業の開発
     6)被災者支援から生活困窮者支援へ
     7)第4のイノベーション
        ――災害ケースマネジメントの開発
     8)本章のまとめと考察

第4章 サードセクターが参入する復興をめぐるガバナンス
     1)復興の枠組みは誰が形成するのか
     2)他セクターから交渉相手とみなされる中間支援組織
     3)サードセクターによる復興の枠組み形成への介入
     4)ナショナルスケールにおけるマルチセクターによるガバナンスの模索
     5)ローカルスケールにおける復興とコミュニタリアン的政策の交わり
     6)本章のまとめと考察

第Ⅲ部 サードセクターのイノベーション創出メカニズムの把握

第1章 近くは競合、遠くは仲間
     ――サードセクターの地域間イノベーションシステム
     1)空間的スケールからみたサードセクターのイノベーション創出メカニズム
     2)サードセクターの地域間イノベーションシステムの検証仮説と部分的検証

第2章 つながりがイノベーションを生み出す
     ――社会ネットワークからの接近
     1)調査方法
     2)社会ネットワークを経由した知識利用
        ――知識交換がイノベーションの源泉
     3)サードセクターの社会ネットワークの構造特性
        ――インターネットのようにつながっている
     4)空間的スケールごとの活動内容の比較
        ――ローカルスケールの組織のほうが社会ネットワークを活用できる
     5)社会ネットワークの構造上の位置と社会的課題の解決効率の関係
     6)本章のまとめと考察

第3章 瓢箪から駒が出た
     ――仙台市における市民協働という規範・ルールの発展
     1)島野武の時代・前半
        ――産業都市になれなかった革新市政の政治戦略
     2)島野武の時代・後半
        ――コミュニケーションの多様化と協働する規範の成立
     3)石井享の時代
        ――政治の行政集中と自発的な市民事業の開始
     4)藤井黎の時代
        ――政策としての市民協働の成立
     5)本章のまとめと考察

結論――本書の要約と学術・実践上の含意

補論

第1章 社会変動をもたらすミクロな行為者としてのサードセクターへの接近

第2章 社会的課題の解決主体としてのサードセクターの実態把握とイノベーション創出メカニズムの解明に向けて

第3章 法人格からみた社会的課題に対応するサードセクターの構成

第4章 サードセクターの地域間イノベーションシステムの前提となる理論

第5章 サードセクターの社会ネットワーク上のハブを説明する因子の導出

第6章 サードセクターが関与する経済成果を説明するための指標の導出

参照文献
謝辞

人名索引
事項索引

http://www.nakanishiya.co.jp/book/b510860.html