
書籍のご紹介です。
著書:コミュニティの幸福論〜助け合うことの社会学〜
著者:桜井 政成 著
出版年月日:2020年10月1日
価格:2,420円
総ページ数:352ページ
出版社:明石書店
概要:
本書は、地縁血縁にもとづく地域コミュニティのみならず、趣味やボランティア等にもとづく選択縁や、ネット上のバーチャルなコミュニティにまで範疇とし、コミュニティとは何か、を多面的に再検討するものである。第1章では、人と人との関わり合いが幸せを生む、という問いについて議論が展開され、第2章では、日本人の幸福感の特徴について検討がなされる。第3章および第4章では、海外に比べて日本人は知らない人を助ける比率が低いことを踏まえ、ボランティア活動が地縁的であることや、ソトの人に助けを求めることで居心地の悪さを感じていること、等が主張される。そのうえで、第5章から第10章までは、地元での暮らし、居場所、インターネット・コミュニティ、LGBT、社会的包摂、排除、といった多様なテーマが設定され、国内外の事例を基に、日本人の若者における生きづらさについて検討が行われている。例えば、人と話せて安心でき自分の存在や役割を確認できるサードプレイスの重要性(第6章)、オンライン・コミュニティがオフラインの現実社会のコミュニティに影響を及ぼす可能性(第7章)、ホームレス等の若者への就労支援には支えられる資源をもった人たちがつながったコミュニティ形成の必要性、等が説かれている。そして終章では、コミュニティの関係性を何らかの仕掛けによって変化させ、解決に導くための方向性が提示されている。人々はどう助け合うべきか、また、いかにウェルビーイングにつなげるか、その道筋を紐解く試みである。
https://www.akashi.co.jp/book/b532866.html
個人化した社会のなかで、どうすれば人と人とは助け合えるのか。幸福に生きられるか。著者のNPO・ボランティア研究の成果も踏まえながら、社会学的観点を中心に、ネットコミュニティ等、多様化するコミュニティのあり方を検討していく。
目次:
はじめに
第1章 コミュニティから幸せを考える意味って?
第2章 日本人の幸福感
第3章 助け合わない日本人?(1)――利他的行動とボランティア
第4章 助け合わない日本人?(2)――被援助要請とウチ・ソト文化
第5章 地域コミュニティの幸せ――地元で暮らすということ
第6章 居場所を考える――子供・若者を締め出す地域コミュニティ
第7章 インターネットとコミュニティ
第8章 「当事者」とコミュニティ――LGBTを例に
第9章 「働くこと」を支える――社会的包摂とコミュニティ
第10章 コミュニティとトラブル、排除
終章 助け合える幸せなコミュニティをつくるには
あとがき
文責:小田切康彦(徳島大学)