
書籍のご紹介です。
書名:非営利法人制度改革の研究 ― 新・政策の窓モデルによる実証分析
小島廣光・平本健太著
出版社:北海道大学出版会
ISBN: 978-4-8329-6879-0
発行日:2022年3月30日
概要:
本書は、日本における非営利法人制度改革が、21世紀の初頭になぜ、どのように実現したのか、政治・政策過程の事例研究によって解明しようとした作品である。490ページにたわる大作である。第1章では、本研究の問題設定が行われ、著者らの過去の研究を踏まえつつ、本書の問題意識が述べられている。第2章では、理論的枠組みと研究方法について解説が行われている。本書が依拠する理論モデルについて、Kingdonの政策の窓モデル、及び改訂版政策の窓モデル(2003年)をベースに、今回用いられる新・政策の窓モデルの特徴や意義について説明されている。第3章では、公益法人制度改革の準備期(橋本内閣発足から閣議決定「取組み」まで)、形成期(閣議決定「取組み」から閣議決定「基本方針」まで)、実現期(公益法人制度改革関連3法案ち新公益法人税制法の成立まで)、のそれぞれにおける事例の記述と分析が行われる。第4章では、特定非営利活動促進法と寄付税制の改正をめぐる、準備期(特定非営利活動促進法成立から鳩山内閣発足前まで)、形成期(鳩山内閣発足から「新しい公共」宣言まで)、実現期(菅内閣発足から改正NPO法及び新寄付税制関連法成立まで)、の事例の記述と分析が行われている。第5章では、第3~4章の事例に関してモデルに基づき分析が行われ、参加者、政策形成の場、問題、政策案、政治、政策アクティビスト、波及、政府立法議員立法、という8つの命題を導くことに成功している。そして、第6章でまとめが行われ、意義と課題が整理されている。
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わが国100年来の課題であった非営利法人制度改革は、今世紀初頭の十余年間で「なぜ」「どのように」実現したのか。公益法人制度改革、NPO法と寄付税制の改正について、著者独自の「新・政策の窓モデル」を駆使した事例研究によって、その複雑な政策形成過程を詳細に解明した力作。
目次:
はしがき
第1章 非営利法人制度改革は「なぜ」そして「どのように」実現したのか
第2章 理論的枠組と研究方法
第3章 公益法人制度改革の事例とその分析
第4章 NPO法と寄付税制の改正の事例とその分析
第5章 非営利法人制度改革の発見事実と命題
第6章 結 論
文責:小田切康彦(徳島大学)