人口減少社会の地域経営政策

著書のご紹介です。

書名:人口減少社会の地域経営政策

著者:川島 典子(編)、原田 徹、鄭 年皓、谷畑 英吾、桜井 政成、岡本 悦司、軍司 聖詞、倉本 到、滋野 浩毅、鈴木 康久、寺本 英仁

出版社:晃洋書房
ISBN:9784771036406
発売日:2022年07月10日

概要:

本書は、人口減少社会において地域課題を解決する「地域経営」に焦点をあて、政策学、経営学、社会学、社会福祉学、医学等の領域の多様な研究者と実務家によって執筆されたものである。第1章では、公共空間の再編成や公共政策におけるデザインや合意、ガバナンスのあり方について述べられている。第2章では、地域経営における経営組織論が展開され、異質的組織間の緩い結合や異質なよそ者の参加といった地域の多様なネットワークの関係性について示されている。第3章では、地方自治体が人口減少社会においてどう対応すべきかを論点に、とりわけ、中央集権システムを廃した地域経営を目指す必要性が提起される。第4章は、NPOの概念や法制度、社会的企業等の市民社会組織が取り上げられ、地域経営とNPO・社会的企業との接点が検討されている。第5章では、保健医療に関して、個々の医療機関の経営を越えた地域医療全体の最適化の取り組みである地域医療構想が論じられている。第6章は、人口減少社会の処方箋としてのソーシャル・キャピタルが取り上げられ、地域経営における社会福祉政策のあり方が論じられる。第7章では、農業分野における外国人労働力調達をテーマに、その受け入れトラブルの回避に地域経営的対応が求められていることが論じられる。第8章では、地域情報学をテーマに、地域において利活用できる基盤技術や情報技術が整理されている。第9章では、京都府福知山市の事例を基に、地方都市における観光振興・観光まちづくりの取組と観光人材の役割等が検討されている。第10章では、京都府南丹市の事例を基に、過疎地域におけるまちづくりが、第11章では、島根県邑南町の事例を基に、地域内経済循環のあり方が紹介されている。本書は、地域における課題解決を、多様な領域にまたがる地域経営という概念によって見出そうとした野心的な作品といえる。

人口減少社会の地域経営政策

地域の課題を解決するための「地域経営」について政策、地方自治、経済、医療福祉、NPO、文化観光、まちづくり、情報学などさまざまな視点から提言。地域の課題を学び、解決に取り組む学生、研究者や行政、NPO、民間の団体への手引きとなる1冊。

目次:

第1章 地域経営と公共政策
第2章 地域経営における経営組織論
第3章 地方自治における地域経営
第4章 地域経営における社会的企業およびNPOの役割
第5章 地域経営からみた保健医療
第6章 地域経営における社会福祉
第7章 地域経営における外国人労働
第8章 地域経営における情報学
第9章 地域経営における文化・観光政策
第10章 地域経営におけるまちづくり
第11章 地域経営における地域経済

文責:小田切康彦(徳島大学)