関西学院大学大学院人間福祉研究科 M1
羅 歌
2024年6月21日から22日にかけて韓国ソウルの延世大学にて開催された、第8回ARNOVA-Asia大会に参加しました。ARNOVAは、非営利組織や社会経済セクターに関する研究者や実務家が集い、知見を共有する国際学会として知られています。「Adapting to Crisis: Reshaping Nonprofit and Social Economy Sectors in and after the Wake of COVID-19」が今回のテーマとして掲げられ、新技術の導入や社会的価値の変容など、COVID-19パンデミックが非営利セクターに与えた影響について多岐にわたる議論が行われました。非営利セクターが直面する課題や未来の可能性を考察する機会として、非常に充実した内容でした。
私は今回、初めてポスター形式での発表に挑戦し、「Exploring the Financial Sustainability of Disaster Relief NPOs in Japan」というテーマで研究成果を共有しました。この発表では、東日本大震災後に宮城県で活動している災害支援NPOを対象に、財政的持続可能性に影響を与える要因が何であるかを論じました。特に、短期的な助成金や寄付金への依存度が高いNPOが、いかにして長期的な財務安定を確保しながら社会課題の解決を続けるかに焦点を当てています。
ポスターセッションは6月22日の午前9時30分から10時30分に行われ、国内外の参加者と直接対話を通じて研究内容を深める貴重な機会となりました。参加者から、災害支援NPOにおける多様な資金調達戦略やボランティア活動の重要性について有益な視点をいただき、今後の研究に向けた多くの示唆を得ることができました。また、COVID-19による社会的変化が、災害支援活動にどのような新しい課題や機会をもたらしているかについても活発な意見交換を行うことができました。
ポスターのデザインや構成についてもアドバイスをいただき、研究内容をより効果的に伝える方法を学びました。また、短時間で研究の魅力を的確に説明し、ストーリーとして伝えるスキルの重要性を改めて実感しました。
さらに、各国の研究者との交流を通じて、日本だけでなく、他国のNPOセクターが抱える現状や課題についても深く理解することができました。たとえば、資金調達の方法やボランティア管理のアプローチには国ごとに違いがあり、それぞれの社会的背景や文化的要因が大きく影響していることを学びました。このような交流は、国際的な視野を広げるとともに、異なる視点から日本のNPOセクターを見つめ直す機会にもなりました。
今回の学会参加を通じて、多くの知見を得ることができました。研究発表の技術だけでなく、他国の研究者との意見交換を通じた国際的な課題への理解が、今後の研究活動に新たな方向性を与えてくれたと感じています。この場を借りて、学会運営に携わった方々、ならびにご支援をいただいた皆様に心より感謝申し上げます。
今後は、学会での学びを活かし、日本の災害支援NPOの財政的持続可能性に関する研究をさらに深化させ、より実践的かつ具体的な提案を目指して取り組んでまいります。