許 晟源
第16回ISTR世界大会(International Society for Third-Sector Research)は、NPOや市民社会に関する研究者が一堂に会する世界的な学術大会であり、2024年7月16日から19日にわたって開催されました(https://www.istr.org/page/ISTR2024)。今回、私は初めてこの大会に参加し、ポスターセッションで研究報告を行いました。参加を通じて、多くの有益な刺激と学びを得ることができましたので、以下にその経験を報告いたします。
1. 大会のテーマと参加の目的
第16回ISTR世界大会のテーマは「次々と訪れる危機――第三セクターはどうあるべきか?」(Crisis After Crisis After …: What About the Third Sector?)でした。また、今回の大会は、1994年にハンガリーのペーチで開催された第1回ISTR国際会議から数えて30周年という節目の年にあたります。この大会に参加した理由は以下の二点にあります:
第一に、2023年に開催された日本NPO学会学術委員会企画の第5回「国際学会(ISTR)に応募しよう!」に参加し、岡田先生の講義を通じてISTR学会の特徴について詳しく学ぶ機会がありました。また、この企画ではアブストラクトの書き方や申請のポイントについても教えていただき、自分ももしかするとこの国際的な舞台で発表に挑戦できるのではないか、という思いが芽生えました。
第二に、大会に参加した当時、私は修士課程に在籍しており、卒業論文の提出期限が2024年8月上旬に迫っていました。本学会は7月中旬に開催されたため、このタイミングで発表を行い、国際的な視点やフィードバックを得ることで、論文の議論部分をさらに深めたいと考えていました。
以上のような経緯から、今回の学会参加は、研究活動の一環として重要なステップとなり、自身の研究に国際的な視点を取り入れる貴重な機会になると考えました。
2. 学会参加の感想
今回の学会参加は、期待以上の成果と学びを得ることができました。
まず、憧れの研究者との出会いがありました。これまで論文で名前を何度も目にしていた著名な研究者が身近にいて、セッションの合間にはコーヒーを飲みながら気軽に会話している様子を目にするなど、この学会ならではの雰囲気を実感しました。また、自分が愛読している先生方と、自分が興味を持って選んだセッションが多く重なっており、「やはり関心を持つテーマが重なるからこそ、この場に集まっているのだ」と改めて感じました。さらに、ポスターセッションでは自分の発表に対して具体的なアドバイスをいただき、今後の研究に貴重な示唆を得ることができました。
次に、異文化交流と進学への意欲ができました。学会では、様々な国から参加した学生たちと交流する機会も多くありました。各国の大学での授業内容や研究計画について話し合う中で、自分の研究の方向性がより明確になり、博士課程への進学意欲がさらに強まりました。
3. 学会参加からの繰り返し
初めての国際学会に参加し、いくつか気づいた点や今後改善したい点がありましたので、以下にまとめます。
第一に、自分が参加したいセッションを事前に調べ、計画を立てておくことの重要性を感じました。学会の会場は場合によって規模や配置が異なりますが、今回の学会は2つの建物に分かれており、セッション間の移動には建物を出て通りを渡る必要がありました。そのため、事前に会場マップを活用して、効率よく移動ルートを確認することが欠かせないと実感しました。
第二に、目的意識の重要性を実感ました。学会には興味深い発表が数多くありましたが、限られた時間の中で効率よく学ぶには、自分の研究課題に関連するものを優先的に選ぶ取捨選択の能力が求められると感じました。目的を明確にし、重点的に学ぶことで、より充実した学会参加が可能になると考えます。
最後に、積極的な交流の重要性です。今回は初めての参加ということもあり、緊張してしまい、研究者との交流の機会を十分に生かせない場面がありました。特に、自分の研究で参考文献としてよく使用している著者と直接対話する貴重なチャンスを逃してしまったのは大きな反省点です。次回は、もっと積極的に話しかけ、交流を楽しむ姿勢を持ちたいと思います。
今回の学会参加を通じ、多くの学びを得て視野を広げる貴重な機会となりましたが、それもひとえに日本NPO学会の支援があったからこそだと深く感じています。特に、事前の「国際学会(ISTR)に応募しよう!」といった企画を通じて、国際学会への了解やアブストラクトの書き方を学ぶことができ、大変有意義でした。また、若手研究者に向けた国際学会参加支援助成金を提供していただいたことで、今回の学会参加することができました。このような成長と経験の機会を与えてくださった日本NPO学会に、心より感謝申し上げます。